絵付け体験2011/05/03

先日、茨城県に住む知人Yさんの案内で、笠間市の陶芸祭に行って来ました。
会場となっている公園内にあった、らく焼き(正確には笠間焼?)の店で、20年ぶりに皿の絵付けも体験して来ました。20年前は経験不足からか、納得の行く絵が描けませんでしたが、先日描いた時は、心身共に即興に強くなった自分を自覚し、是非また描いてみたいと思いました。この20年間、個展会場で何枚も額裏に絵を描かされ続けたのが、良いトレーニングになっていたのかもしれません。
白い絵皿を前にしたら、それまで物見遊山気分だったのが、ムラムラと絵描きモードに気持ちがチェンジして、我ながら少し驚きました。地震以降、自発的に絵らしい絵を描いていなかったせいかもしれません。しかし周りの客は家族連れで楽しんでいるのに、一人職業っぽい絵を描くというのも、何だかきまりの悪い物です。
焼き上がってからひと月半後に宅急便で送られて来るシステムで、もう少し早く現物を手にしないと、これが送られて来た頃には、皿も気持ちも熱が冷めていそうです。

恩師2011/05/05

5月某日、大学時代にお世話になった、及部先生から電話でお誘いいただき、先生の教え子でもある、榎本了壱さんの展示にご一緒しました。
榎本さんとは、その昔司会をされていたNTVの「美の世界」でお世話になって以来で、約20数年ぶりにご挨拶をしました。展示は自作の句をグラフィカルに掛け軸に仕立てた斬新な作品展で、デザインに留まらず、幅広い活動をされている榎本さんらしく、各界で活躍されている人達が最終日の会場にいらしていました。元天井桟敷の森崎偏陸さんもそのお一人で、久方ぶりにご挨拶をしたのですが、後日、丁寧なお手紙とご著書をお送りいただき、恐縮いたしました。
展示会場に行く前に、喫茶店で暫し及部先生から美術教育に関するレクチャーを受け、先生が現在教えている授業内容等のお話を聞かせていただきました。この歳で再び先生の学生に戻れるというのは、何とも幸せな事です。
店を出る時、先生に「今度の震災以降、ビジュアル表現は変わるんじゃないでしょうか」とお聞きしたところ、「変わるね」と、一言つぶやかれていました。
*画像は榎本さんからいただいた句集「川を渡る」かいぶつ書店刊

審査会2011/05/08

先日夕刻、TIS(東京イラストレーターズソサエティ)新会員入会資格審査会が、TIS事務局にて開催されました。そこでの審議結果は、後日事務局より発表される予定ですが、興味深かったのは会の後に入ったお店で、同席した灘本さんと宇野さんから伺った、三島由紀夫と初めて会われた時の、それぞれのエピソード。「ものすごいスターのオーラが出ていた」と言うのが、お二人の共通の第一印象だった様です。今でこそ珍しく無い職業ですが、60年代当時はイラストレーターも世間的にスターの時代でした。 それから半世紀経ちましたが、お二人は今もスターのまま活躍されています。
*画像は2006年に宇野さんとご一緒させていただいた、スペースユイでの2人展の時の出品作。幼少期の宇野さん(左)と僕という設定で、古いポストカードに加筆しました。

e顔バッグ展開催2011/05/21

20日から31日まで、新宿小田急百貨店12階に於いて、宝塚大学新宿キャンパス、イラストレーションコースの学生による、「e顔バッグ展」が開催されています。これはエコバッグをキャンバスに、学生達が顔をモチーフに自由に表現した作品展で、約100点のバッグが展示されています。
バッグは1点1000円で販売もされ、土日には学生達による、エコバッグに似顔絵を描く、チャリティーイベントも開催されます。なお売り上げは全額震災復興のための義援金となる予定です。
イラストレーションは何かに使われて初めて、社会や他者とのコミュニケーションが生まれ、命を宿します。その楽しさや難しさを、今後も学生達に実感してもらいたいと思っています。
*ポスターの絵は3年学生作。

城芽さん受賞2011/05/22

イラストレーションコースでも授業を担当していただいている城芽ハヤトさんが、この度、第42回講談社出版文化賞さしえ賞を受賞され、その授賞式が20日、講談社本社ビルにて行われました。
 受賞式では城芽さんは、トレードマークの後頭部に眼鏡を掛ける、「後ろ眼鏡」で登壇し、もう一つのトレードマークである、黒リュックを背負っていなかったせいか、当初少し落ち着かないご様子でしたが、すぐに執り直され、
「こういう事(大震災)があった年に、自分の絵を選んでいただけた事が嬉しいです。」とご挨拶され、満場の拍手で祝福されていました。城芽さん本当におめでとうございました。
 また先日は授賞式前の慌ただしい時にも関わらず、わざわざ学生達のために、e顔バッグ展の展示をお手伝いいただき、ありがとうございました。城芽さんの「後ろ眼鏡」は、「常に後ろの者に対する、配慮や思いやりを忘れない」という心構えの、表徴なのだと判りました。
*ちなみに手前の座敷童みたいな女の子は、有名な未来ちゃんです。

立体作品2011/05/31

立体作品の場合、現物を見なければ作品意図が分からない場合があります。この作品「穴の中」は、展示会用に制作した作品ですが、実は穴の奥底に時計が仕込まれています。従ってこの人物は時間を見ている訳ですが、単純に穴を覗き込む男の佇まいも、客観的に見ると何やら意味ありげで面白いので、探偵小説の表紙としても使用しました。