無自覚良品 ― 2011/10/03
またまた鮮烈な作品を発見してしまいました。あえて名付けるなら「ガムテ塀」とでも呼びましょうか。ガムテープは補修用としても、様々な場所でよく使われる素材ですが、これほどの大作に使われている例は、見た事がありません。幅2間程の長さを何度もテープを横断させ、その大胆なストロークが気持ちが良い作品です。とても1巻のテープでは完成出来なかった事でしょう。裾から覗く倒壊した石灯籠が無常観をさそいますが、門口の松の木といい、往時は小さいながらも趣味の良いお庭であった事が偲ばれます。
実はこのガムテ塀、以前記載した「オブジェ邸」の裏手付近で発見したので、ひょっとしたら同じ作者の作品と言う事も考えられますが、若干作風の違いを感じます。
このように時々街で遭遇する、制作者がアートを目的とせず、しかし結果として見る者の心を動かす作品になっている物体を、何と呼称したら良いのでしょう。ジャンルとしてはアウトサイダーアートに近いと思いますが、作者は決して作品を意識している訳では無く、一住民による生活上の一行為でありましょう。「無意図作品」「無意識過剰派」「無自覚良品」…。
しかしだんだんこのブログ、この種の市井オブジェ作品を、発見しては紹介する記事が増えて行きそうで怖いです。
実はこのガムテ塀、以前記載した「オブジェ邸」の裏手付近で発見したので、ひょっとしたら同じ作者の作品と言う事も考えられますが、若干作風の違いを感じます。
このように時々街で遭遇する、制作者がアートを目的とせず、しかし結果として見る者の心を動かす作品になっている物体を、何と呼称したら良いのでしょう。ジャンルとしてはアウトサイダーアートに近いと思いますが、作者は決して作品を意識している訳では無く、一住民による生活上の一行為でありましょう。「無意図作品」「無意識過剰派」「無自覚良品」…。
しかしだんだんこのブログ、この種の市井オブジェ作品を、発見しては紹介する記事が増えて行きそうで怖いです。
建石修志展開催中 ― 2011/10/09

10月8日から21日まで、銀座青木画廊にて建石修志さんの画集出版記念展「紙片の狭間へ」が開催中です。混合技法で描かれた、人間業とは思えぬ緻密な描写が見る者を圧倒します。ご本人はシュールレアリズムからの影響を語られていますが、その画面構成に不条理さは無く、数学の定理のように厳格です。また同画廊から刊行された画集も会場で販売されていますが、充実した内容で定価2,800円とお買い得。波瀾万丈の人生を綴った巻末の年譜が圧巻で、これでも随分端折ったとの事。次回は是非自叙伝を出版して下さい。バーコードの無い、禁欲的な美しいブックデザインの一冊です。
*写真は人々の喧噪が過ぎ去った後、自作を前に一人画廊にたたずむ建石氏。その胸に去来する物は…。
*写真は人々の喧噪が過ぎ去った後、自作を前に一人画廊にたたずむ建石氏。その胸に去来する物は…。
光になった馬 ― 2011/10/12

秋は読書の季節。そのせいでは無いでしょうが、この所、知人、友人から本をお送りいただく事が続いております。「光になった馬」は歌手EPOさんの歌「たったひとつの」から生まれた、EPOさん自身による愛らしい創作童話です。CDブックになっていて、その物語の朗読を担当されている宮川雅彦さんとは20年来の友人です。宝塚大学でも演劇の授業を担当していただいており、そのユニークな授業は学生達にも評判です。宮川さんはEPOさんのライブ構成もされていて、そういったご縁から、2年前には「たったひとつの」も収録されている、EPOさんのCD「AQUA NOME」のジャケットと歌詞カードを、僕の絵で飾っていただきました。「たったひとつの」は名曲中の名曲で、何とかこの感動的な歌を使って、今後授業を展開出来ないものかと思案している所です。
*「光になった馬」は主婦の友社より発売中です。
*「光になった馬」は主婦の友社より発売中です。
dpi マガジン ― 2011/10/28

5月の陶芸市でもお世話になった、茨城在住のHさんより、在る日ずっしりと重い「本」と書かれた宅急便が届きました。百科事典でも入っているのかと開けてみると、中からびっくり、台湾の雑誌が7冊も出て来ました。
台湾や日本など、世界のイラストレーターやアーチストを紹介する、台湾のグラフィック誌「dpi マガジン」より、去年の春に作品掲載とそれに伴う質問事項の文章を依頼されました。データーを編集部に送ったのですが、発刊予定日を等に過ぎているのに、待てど暮らせど掲載誌が送られて来ません。僕より以前に掲載された同業の酒井賢司 さんとそのお話になったところ、「あの編集部は少人数だから、発送まで手が回っていないので、言わないと送ってくれないですよ」との事。催促のメールを出すのも面倒なので、ずっと諦めていたところでした。
聞けばHさんは短い台湾出張の際、ホテルで大型書店の場所を聞き、わざわざ地下鉄で赴いて書店員に交渉し、待たされたあげく、店員が倉庫から出して来てくれた在庫本を、全部購入して持ち帰って来て下さったとの事。感謝感激とはこの事です。
質問事項に対する答えの英訳では、対外交渉に長けたHさんに随分お世話になっていて、dpi マガジンに関しては結局最初から最後まで、面倒を見ていただいた結果になりました。Hさんありがとうございました。御厚情にあらためてお礼申し上げます。感動致しました。
僕はまったく中国語は読めませんが、先日中国からの留学生にこの雑誌を見せた所、「うん、先生なかなかいい事書いているネ」と、褒められました。それにしてもこのdpi マガジン、結構充実した内容で、日本でも発売したらと思うのですが、何故か日本では、台湾の書籍は殆ど取り扱われていないそうです。
台湾や日本など、世界のイラストレーターやアーチストを紹介する、台湾のグラフィック誌「dpi マガジン」より、去年の春に作品掲載とそれに伴う質問事項の文章を依頼されました。データーを編集部に送ったのですが、発刊予定日を等に過ぎているのに、待てど暮らせど掲載誌が送られて来ません。僕より以前に掲載された同業の酒井賢司 さんとそのお話になったところ、「あの編集部は少人数だから、発送まで手が回っていないので、言わないと送ってくれないですよ」との事。催促のメールを出すのも面倒なので、ずっと諦めていたところでした。
聞けばHさんは短い台湾出張の際、ホテルで大型書店の場所を聞き、わざわざ地下鉄で赴いて書店員に交渉し、待たされたあげく、店員が倉庫から出して来てくれた在庫本を、全部購入して持ち帰って来て下さったとの事。感謝感激とはこの事です。
質問事項に対する答えの英訳では、対外交渉に長けたHさんに随分お世話になっていて、dpi マガジンに関しては結局最初から最後まで、面倒を見ていただいた結果になりました。Hさんありがとうございました。御厚情にあらためてお礼申し上げます。感動致しました。
僕はまったく中国語は読めませんが、先日中国からの留学生にこの雑誌を見せた所、「うん、先生なかなかいい事書いているネ」と、褒められました。それにしてもこのdpi マガジン、結構充実した内容で、日本でも発売したらと思うのですが、何故か日本では、台湾の書籍は殆ど取り扱われていないそうです。
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