谷口広樹さん2021/09/15

青山のギャラリーspace YUIで、2018年の始めに2人展をご一緒した谷口広樹さんが、去る8月30日に急逝された。大学での講義の最中に倒れられたとのことである。64歳であった。
谷口さんはイラストレーションだけでなく、グラフィックデザイン、純粋絵画、大学教授と、その活動は多岐に渡り、いずれにおいてもその才能をいかんなく発揮されていた。純度の高い大きな抽象画も描けば、気が遠くなる程細かい、無印の看板イラストの依頼も引き受けて描かれていた。その振り幅の大きさから、ご本人に「谷口さんが何処を目指しているのか判らない」と申し上げた事があるが、氏は笑っていた。
谷口さんが無くなった時、氏は西荻で個展を開催中でもあった。遺影でも飾ってあったら辛いなと思いながら最終日に伺ったのだが、いつでも奥から谷口さんが現れそうな、何も変わらぬ自然な展示で、感傷に溺れずに見ることが出来てとても良かった。谷口さんの作品はタイトルがいつも凝っている。人生訓のようであったり、心情吐露のようでもあったりする。今回の作品の中に「山は数あれど頂上は一つ」といったタイトルの作品があった。私はこのタイトルを見たとき、谷口さんが目指す方向性の謎が解けた気がした。私のような怠け癖のある人間には理解出来ない程の、大いなる創作エネルギーが、氏を突き動かしていたのであろう。
画像は2人展の際、谷口さんがデザインしてくれたシルクスクリーンによるポスターである。