夏・南方のローマンス2013/04/10

初めて劇団民藝公演のポスター用立体作品を、制作しました。
15年ほど前、青山のスペースユイで立体作品展を行いましたが、その時お近くにお住まいの、民藝の重鎮滝沢修さんがふらっと画廊に立ち寄られ、時間をかけて僕の作品を見ていって下さったそうです。生憎とその時僕は画廊を不在にしておりましたが、もしその時お目にかかっていたら、緊張でさぞしどろもどろの対応になっていた事と思います。それから間もなくして滝澤さんは亡くなられましたが、今回のポスターを滝沢さんがご覧になったら、何とおっしゃったでしょうか。
幸いな事に、作品は民藝のスタッフの皆さんは気に入って下さっているようですが、この花は何の花かと良く聞かれ、答えに困りました。「南方の花です」と言いたい所ですが、実は創作上の植物です。
ポスター、パンフレットデザインは松吉太郎さんです。

訃報2013/04/15

この2月に私が複数表紙を担当させていただいた、お2人の作家さんが相次いで亡くなられた。
今邑彩(いまむら あや)さんと殊能将之(しゅのうまさゆき)さんである。お二人の代表作である「ルームメイト」と「ハサミ男」の装丁は、私にとっても表紙作品の代表作となっている。特に今邑さんとは深いご縁で、中には同じ本を3回装丁し直した作品もあり、そのご著書の大半に関わらせていただいている。昨年末には中公新社の文庫シリーズも一段落し、自分でも楽しんで装丁した、お気に入りのシリーズであった。一方殊能さんの表紙は全て立体作品で飾らせていただき、どれも自分で納得のいく装丁をやらせていただいた。
作家ではないがもう一人、大切な友人が4月に亡くなった。以前このブログでも報告したが、去年2月に大学の卒業講演会に声を掛けて下さった、桐生短期大学の石黒康弘教授である。彼は武蔵美の2年後輩にあたり、40年来の友人でもある。一時期仕事を手伝ってもらっていた事もあり、しばらく疎遠であっても、会えば直ぐに学生時代に戻れる仲であった。去年の桐生でお会いした時も体調不良を訴えられていたので、一度検査をしてみてはと申し上げたのが最後になってしまった。
亡くなられたお三方のご冥福をお祈りいたします。