聖母子競演2011/12/15

知人のアンティークショップ「マチルド・イン・ザ・ギャレット」オーナー酒井しょうこさんが、御自身のシンプルな暮らしぶりを綴った本を出されました。ほぼ同じ時期にお嬢さんの景都さんもCDを出され、期せずして母子競作となりました。
まるでシェーカー教徒のような、禁欲的かつ優雅なライフスタイルが、シックな写真とともに丁寧に紹介されていて、美しい1冊となっています。(阪急コミュニケーションズ刊)
一方お嬢さんの景都さんは、母親に劣らぬ多彩な方で、モデル、デザイナー、エッセイスト、フォトグラファー等、多方面で活躍されているアーティストです。最近は中田ヤスタカ氏とコラボユニット「コルテモニカ」を結成し、これはそのDVD付きベストアルバムです。(ヤマハミュージックコミュニケーションズ発売)
お二人とも敬虔なクリスチャンで、特にお母様のしょうこさんは、お目にかかるといつも神学校の女学生のようなたたずまいをされており、こちらもそそうが無いよう、いささか緊張致します。
去年の暮れから一向に部屋が片付かず、益々ゴミアトリエの主と化して来た私には、とても真似の出来ないライフスタイルですが、聞く所によると、幸運の女神は女性だから、汚い部屋には訪れてくれないとか…。大いに思い当たる節があります。

鉄人展示レース2011/12/20

11月から12月にかけて、何故か今年は例年に無くグループ展が続いており,さながら展示の鉄人レースの様であります。東武での個展が終わるや否や、
スパンアートギャラリー(銀座)「少女幻想」展、
ギャラリーハウス MAYA(青山)「refrain」メメント・モリ、
スペースユイ(南青山)fig. 玩具図譜展、
東武百貨店(池袋)メルヘニズム/夢想の記述展、…と展示会が連続しております。
僕の出品作品もそれぞれ画廊ごとに作風がまちまちで、リアリズム表現、立体作品、ブリキ玩具、イラストレーション等々。これらの出品作を一同に並べてみると、知らない人はとても同一作者のものと思わないかもしれません。作家によっては一つの作風を生涯追求して行くタイプの人もいますが、飽きっぽい僕は、どちらかと言えば色々な表現方法を試してみたいタイプだと思います。一見バラバラでも作品を全部並べて上空から見て、それが僕の姿形をしていればそれで良いのでは…と、勝手に思っています。もっとも、僕がどんなにがんばって作風を変えて作ったところで、所詮一人の人間から出て来たものです。技術上の壁も有り、趣味とか癖とか匂いとかが、少しずつ漏れ出ているかもしれません。今後も創りたいもの、自分で見てみたいものを、試行錯誤しながら創作して行きたいと思っています。もっとも、思い付きの作品ばかりで、画廊にとっては端迷惑な話かもしれませんが。
*写真は制作途中のギャラリーハウス MAYA出品作と、木工所と化し、なかなか片付かない仕事部屋。このまま年越しか。

トタン作品2題2011/12/24

道ばたの電柱にコードでくくり付けられた、小さなトタンの庇。これは一体何を保護しようとしているのでしょう。庇の横のパイプが割れていますが、割れないように保護、あるいは割れてしまったパイプを犬の小便や雨水から保護しようとしているのでしょうか。だとしたら、もっと上手い保護の仕方が有りそうなものです。もしかしたら、本来風雨から守るべき物が電柱脇に有り、それが撤去されて、盖としての板だけが残った状態なのかもしれません。それにしても不定形に切り取られた板の形や、中心から右に大きくずれたコードを通す穴の位置に、どのような意味が有るのでしょうか。よくよく観察すると、割れたパイプから見えているグリーンのコードと、くくり付けるのに使われているコードは同種の物の様です。従ってやはり電力会社の方の手による作品と推察されます。小品ですが、幾ら考えてもコンセプト不明の難解な作品です。
一方同じトタン板でも、下の写真の作品はもっと明快です。廃車となったバスが町の集会場として使われていて、その車輪部分にタイヤが無いのは無様と思ったのか、4輪ともトタン板で覆われていました。何だか余生を送るバスがプリーツのスカートに履き代えたようにも見え、ペーソスある微笑ましい作品となっています。名作だと思いますが、残念ながら老朽化のため撤去され、今は存在していません。

展示会全て終了2011/12/28

年末の展示会ラッシュも28日を持ちまして、全て終了致しました。ご来場いただいた皆様、ご協力いただいた皆様、どうもありがとうございました。来年は2月の大分、アートギャラリーデボラでの個展と、青山のスペースユイでのグループ展がスタートとなる予定です。お近くに御用の際はお立ち寄り下さい。